うつ病の治療にIngressが効く10の理由

みなさん、今巷で話題沸騰のスマホゲーム、Ingress(イングレス)をご存知でしょうか。

あのGoogleがはじめて発表したゲームアプリのことです。

これが今、世界中で1000万ダウンロードされ、ダイエットに効く、運動不足解消、そしてうつ病に効く、など噂が噂を呼び、NHKで特集されるなど一種の社会現象にまでなっています。

 

ここでIngressイングレスについて簡単に紹介します。

Ingressは拡張現実(AR Augmented Reality)ゲームと言われ、現実世界の上に仮想世界の情報が重ね合わされた世界で楽しむゲームです。具体的にはスマートフォンのグーグルマップの上に表示された、ポータルというパワースポットのような場所、まで実際に歩いてゆき、そこでHackすることで情報やアイテムをゲットすることでゲームが進んでゆきます。

どうですか?
イメージできたでしょうか。

Ingressの世界観の中では、人類を覚醒に導こうとするEnlightenedという緑のチームと、それを阻止しようとするResistanceという青のチームの2つに分かれて戦いが繰り広げられています。その戦いは、ポータルを三角形に囲むことで陣地を作り、それの面積を広げてゆくことで勢力を競ってゆきます。

 

実際のゲームでは、街中に存在するポータル、実際には地元に昔からのこる神社や石碑、地蔵や、ちょっと風変わりなモニュメントなど、忙しい日常生活のなかではつい見逃してしまうような、でも子供の頃には遊び場の大事な目印として認識していた、懐かしいランドマークの数々です。そのポータル間を歩きながら、スマートフォンでハックしながら、町の中を歩いてゆきます。


 

私自身も10月の初旬からやり始めました。
当初はなかなか進まないダイエットの足しになればいいな、程度の考えだったのですが、はじめて2週間で、今まで10年間超えなかった目標の体重が5kg減った時には、このアプリの凄さに驚くと同時にモチベーションが続かず実現できなかったダイエットを簡単に実現してしまう、このゲーム自体のの面白さと中毒性に心底惚れ込んでしまいました。

 

今まで有酸素運動が苦手で、スポーツジムで筋トレはするけど、ランニングマシンや自転車は面倒で乗れなかった自分が、Ingressを始めてから休日は朝6時に起きて近所をウロウロ。スマホ片手にハック、デプロイ。時には遠くの後楽園まで出ていって朝もやの中を1~2時間歩いて回る。
生活がどんどん健康的になってゆきます。
それも無理に努力することなく。むしろ自主的に外出が楽しみになってゆきます。

 

Ingressを始めると、とても不思議なことが起こります。私は生まれ育った実家の近くに現在は住んでいるのですが、30年前幼少期に遊んだ神社や公園を、30年経った今再び訪れ、しかもゲームのために何度も訪れる体験をするわけです。そうするとその時の懐かしい記憶と、30年経た現在の体験が重なり合い、懐かしいような新しいような不思議な体験をします。そして毎日ポータルの世話をし、地域を守るうちに、奇妙な郷土愛のようなものが生まれてくるのですね。まるで氏子を守る青年団のような気持ちです。そんな風に自分に郷土愛が目覚めるなんて、予想もしないことでした。

 

これとても面白いので参考になります。


 

そして歩きながら、普段通りすぎて見落としていた、街中の不思議な建物やモニュメント、奇妙なトマソンに気付かされるようになり、風の心地よさや、天気の移り変わりを楽しむようになります。アイテムを集めたり、経験値を稼いでいるあいだに、つい次のポータルに次のポータルに、と歩いている間にあっという間に4~5km歩いています。

 

日々Ingressをしながらウォーキングを続けるに連れて、自分自身の意識状態も変化してゆくのを感じます。
運動療法の効果で気分が高揚し、爽快になるのですね。
日々の生活に、ささやかな目標が生まれてきます。

 

自分自身の経験を通じて、ふと思い立ちました。
これはうつ病の回復期の治療に使えるのではないかと。

 

うつ病は発症から回復まで、大きく分けて3つの段階を辿ります。

  1. 急性期:診断を受けてから3ヶ月程度。ストレスから離れ休養を取り、薬物療法を含め気分の改善に務める時期。
  2. 回復期:診断を受けてから半年程度。症状は軽快しつつtあり、社会復帰に準備をし始める時期。無理のない範囲で活動量を増やすことが望ましいが、なかなかきっかけが持てないことが多い。
  3. 再発予防期:診断を受けてから1,2年程度。仕事・学校などが元の環境に戻ってもが再発予防のため治療(場合によっては投薬)は続ける必要がある時期。

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先日の記事でも書きましたが、過去のうつ病治療では薬物療法と、ただゆっくり休養を取っていれば回復するという休養療法が主体でしたが、社会復帰などを目標にする場合、休養のみならず、回復期には、規則ただしい生活リズムを保ち、適度な負荷をかけてリハビリ的に行動を活性化させるトレーニングを行うことで、回復を促進できたり、再発を予防できることがわかって来ました。

 

しかしうつの回復期に運動を自分の意志で開始するのは、なかなか困難なものなのです。Ingressはそのハードルをかなり低くしてくれると思います。ゲームを愉しみながら、しかも最初は一人で自分のペースで。

 

そのうちゲームの愉しみがわかってくると、本格的にゲームにハマり、それと同時に運動の爽快さや気持ちよさの報酬が得られるようになり、どんどんIngressをすることが楽しみになってきます。そこまで達すると、あとはただIngressを愉しめばいいのです。
努力や根性は必要なく、楽しみながら気分が改善し、社会復帰に必要な体力がついてくると思いますし、むしろ今まで人生で経験したことのないくらい、長い距離を毎日歩くようになり、貴方自身でも驚くことと思います。

 

そして毎日Ingressをプレイしてゆく中で、今度は同じようにIngressをプレイする仲間を、街のあちこちで目にするようになるでしょう。
そしていつしか挨拶しあう関係になるかもしれません。

 

さあどうでしょうか。

うつ病にIngressが効く理由をここでまとめてみます。

  1. うつ病の回復期には運動療法が有効であること。
  2. しかし自発的に運動を行うのはかなりハードルが高いこと。
  3. Ingressは無理なく運動をはじめるモチベーションになり得る。
  4. Ingressをプレイするのは全く新しいリアリティの体験であること。驚きと楽しさが脳を刺激してモチベーションを高める。
  5. 引きこもりがちな生活を、外に連れ出すきっかけになりえる。むしろ外出してくて仕方が無くなる。
  6. 体力がつく。社会復帰に必要な体力の準備ができる。
  7. 外の世界への関心が産まれる。五感が活発になり、自己の内側から外部に興味関心が向いてゆく。
  8. 日々の運動療法とIngressのレベルアップによって自信が生まれ、気分が爽快になり、抑うつ感が改善してゆく。
  9. 規則正しい生活、毎日に習慣が生まれ、病気の治療以外の健康的な目標が産まれる。
  10. 個人でのプレイから次第に他の仲間との交流が生まれ、社会性の成長がゲームにデザインされている。

 

実際にHIKARI CLINICでは休職中の患者さんとともに、社会復帰のリハビリテーションとしてIngressを用いた治療を行い、
社会復帰を実現した例を既に何例か経験しています。
その患者さんは岡山県でもアクティブなレベル8以上のエージェントに成長し、日々主治医と一緒にエージェント活動に勤しんでいます(笑)。
ちなみにHIKARI CLINICのスタッフはA8以上が3名、A7が1名、A4が1名います。
そして、この春から実施予定のうつ病休職者のリワークプログラムにもIngress療法を導入する予定です。

 

興味を持たれた患者さんは、是非診察の際に、Ingress療法に興味があることを主治医にお伝え下さい。
そして、Ingressを開始するときには、是非緑チーム(Enlightened)での参加をお願いします。なぜなら、治療者と患者は仲間の方がいいでしょ?(笑)

 

やり方については以下のリンクを参考にしてください。

 

【MMMMORPG】Ingress初心者まとめ【廃人無双】

そして院長のIngress療法がIngress速報で取り上げられました。
非常によくまとまっていてわかりやすいので、是非参考にして下さい。

精神科医「Ingress、うつ病に効くわ」

Ingressを通じてうつ病の回復につながった方のブログのリンクです。
https://plus.google.com/114846433595545991672/posts/Yu8FasXwdJo

Ingressを制作する、Google内企業 Niantic Lab 川島さんのBlog

ニュージーランドのレベル16エージェント、Gavinさんから
Sojourner メダルの違う側面

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