様々な原因で、迷い、混乱して心療内科を受診する患者さん。
その葛藤や無意識との対話の中で、自らのエネルギーの源泉に触れ、それを創作活動に結びつける才能をもった患者さんが数多く居られます。
今日は患者さん本人の了解を得て、少し紹介します。
極彩色少女
コスプレとゴス、そしてジャポニズムが出会った瑞々しい今の感性。近々個展があるそうです。「極彩色少女」月子 @出石町 カフェ・コチャエ 2/14~2/20
ひめさとこさん。
書籍を出版されました。
ご自身のパニック障害のきっかけ、そしてつらい現実との葛藤の期間を経て、治療、そして様々な仲間との出会いを、素直な言葉で綴って居られます。文章だけでなく、挿絵、そして立体のアートまで全てご自身でなさっています。その語り口は心の痛みを知る人達に滲み込むように伝わると思います。クリニックに置いてあります。是非手にとって御覧ください。
Mさんの作品。
症状の最も重い頃に書かれた作品が上。キリコや岡本太郎にうけた影響も感じますが、断片化されたからだの器官からは痛みが、そしてキッチュな可笑しさと色彩感には鮮烈な生命力を感じます。
下の作品は様々な葛藤を乗り越えるさなかに書き上げた作品。まさに黄金の宇宙卵。Mさんの中に眠る愛とその全体性を表しているようです。
精神の危機的状況は、また新しい自分への成長の萌芽でもあります。ユング自身がそうであったように、その危機は、精神の奥底の生きることの源泉となるような、イメージ、衝動へ回路を開き、芸術的行為が魂の回復のプロセスそのものとなることがあります。
患者さんの様々な作品を見ることは、私にとって非常に興味深く、また回復の過程を共有するものとしての喜びでもあります。