自分でもそのような考えや行為は、つまらない、ばかげている、不合理だとわかっているのですが、やめようとすると不安が募ってくるので、やめられないのです。「わかっちゃいるけど止められない」。不安が基礎になっている病気なので、不安障害に分類され、強迫性障害とも呼ばれます。

強迫性障害の症状、チェックリスト

  • 何度も手洗いや掃除をしてしまう。
  • 間違いがないか何度も確認してしまう。
  • ある考えが頭にこびりついて、追い払いたいのに追い払えない。
  • 毎日の活動をやり終えるのに長い時間がかかる。
  • 順序正しいことや左右対称にとらわれている。

一つでも当てはまる項目があったでしょうか?
アメリカ精神医学会による診断基準(DSM-4)には、持続する望ましくない思考、衝動、心象の存在(強迫観念)と、反復性で表面的には意味があるように見える儀式的行為(強迫行為)を実行することが含まれています。強迫行為から喜びが得られず、抵抗が見られること、また、日常生活への妨害が1日1時間以上あることも診断基準になっています。

強迫観念

不合理と分かっていても、繰り返し頭の中に起こってきて振り払うことができない考えのことです。不潔恐怖に対するものが多いと言われています。
具体的には自分や他人の尿、便、唾液が不潔で仕方がない。
ほこりやばい菌を過剰に心配する。

確認行為

自分では必要がないと分かっていて、止めようと努力しても、自分の想いに反して繰り返し行なってしまう行為のことです。

確認強迫

戸締りがされているか、ガス栓を閉めたか、電気器具のスイッチは消されているかなどをなんども確認するという行為です。何度確認しても本当にその行為がちゃんと行なったか信じられす、同じ行為を繰り返します。

洗浄強迫

手洗い、シャワー浴び、部屋の掃除、家具を磨くなどを執拗に繰り返します。

強迫性障害の治療

薬物療法

セロトニンという神経伝達物質を調節する薬が使われます。抗うつ薬として昔から使われていたクロミプラミンと、比較的新しい薬であるSSRIで、フルボキサミンやパロキセチンといった薬が有効です。強迫性障害では、うつ病よりも多量の薬を必要とすることがあります。クロミプラミンの効果は強いですが、古いタイプの抗うつ薬に共通して見られる口渇・便秘・立ちくらみなどの副作用が強く出てしまうことがあり、十分量まで増やしにくいことがあります。SSRIはのみ始めの吐き気、眠気などの副作用がありますが、比較的のみやすい薬です。どの薬物にも即効性はなく、十分量を十分な期間服用して効果を判定する必要があります。

行動療法

暴露反応妨害法といい、強迫観念が惹起されるような刺激に暴露して、しかも、強迫行為を行わないようにするというものです。要するに、不潔恐怖なら汚いと思うものに触れてもらい(暴露)、しかも手洗いをしない(反応妨害)よう工夫をするのです。「わかっちゃいるけど止められない」のに「止められる」ようにするわけですから、患者さんは大変です。治療者との信頼関係や患者さん自身のヤル気が必要ですし、いろいろな工夫をするところに専門性があります。まず、患者さんにご自分の病気についてよく知ってもらうこと、なぜ暴露反応妨害が必要なのかを理解してもらうこと、ターゲットとなる症状を明確にすること、反応妨害のための様々な工夫をすることが大切です。

薬物療法と行動療法をうまく組み合わせると治療効果がもっとも上がります。行動療法にはカウンセリングが必要なことがあります。是非ご相談ください。