広汎性発達障害(Pervasive Developmental Disorder:PDD)とは
次の3つの特徴をもつ,生まれつきの発達障害です.脳の器質的な異常によるもので,育て方の問題ではありません.
1,社会性の障害
対人関係、社会面での適切な相互関係を作ることが困難。
他人と興味を共有することができない。
感情が伝わらない。視線が合わない、友達が作れない。
2,ことばやコミュニケーションの障害
ことばが遅れたり、オウム返しをする。
一問一答式の会話になりがちで会話が続かない。
たとえ話をことば通りに受け取ってしまう。
3,イマジネーション(想像性)の障害、反復性・こだわりの強さ
人が自分とは違う気持ちを持っていることを想像しにくい。
相手の言葉や表情、周囲の状況、雰囲気、行動の意味を読み取ることが難しく、
人の気持ちを推し量るのが困難。遊びのルールや役割を理解出来ない。ごっこ遊びが難しい。
限られた事物へ固執しやすく、同じ遊びをしたり、同一性保持行動、常同行動などとなって現れる。
ものの位置を変えたり、どこかへ行く時に普段と違う道を通るとパニックを起こしたりする。
そのほか、みられやすい行動特徴としてあげられること
感覚の過敏さや鈍さ、調整、統合能力の弱さ
多動、衝動性
癇癪、自傷他害、パニック
能力の不均衡さ・・・領域ごとの能力差が大きい
広汎性発達障害とは広い概念で、現在では自閉症スペクトラム障害(ASD、アスペルガー障害)と注意欠如多動性障害(ADHD)、学習障害(LD)を合わせたものを広汎性発達障害といいます。自閉症スペクトラム障害とAHDHの両方の特性を持つ方も沢山おられます。
ノーベル賞を受賞したアインシュタインも高機能自閉症(知的障害を伴わない自閉症)だと言われています。彼は「ゆっくり話してくれなきゃ、何を言っているのか分からない」と語っていたそうです。人の話を聞いて理解することが困難なのでしょう。こういう場合は、文字にすると長文でも理解できる人は多いようです。
米俳優のトム・クルーズも学習障害(LD)があります。彼は文字を読むことができません。そのため台詞は全て、他の人がテープに吹き込んで覚えているそうです。
最近では、レオナルド・ダ・ヴィンチが、アスペルガー症候群であったことが発見されています。
日本では、黒柳徹子さんが有名です。黒柳さんの幼少時を書いた『窓ぎわのトットちゃん』には、障害の症状が出ています。幸い転校先の校長先生がとても理解のある人だったので、黒柳さんは良い方向に成長されたのでしょう。
発達障害は周囲の理解が重要です。理解不足が二次障害を招くこともあります。
治療
HIKARI CLINICは小児、思春期の発達障害は援助の対象ではありません。これは小児、思春期の場合は専門的な援助が必要だからです(児童・思春期専門のクリニックにご相談ください)。当院では成人の発達障害に対しての診断、援助を行っています。
発達障害が原因となり、周囲との折り合いが悪く、二次的にうつ状態や不眠、各種の精神疾患を生じていることがあります。診断をもとに、周囲への理解と障害への取り組みを一緒に考えてゆくことになります。是非一度ご相談ください。