統合失調症とは
代表的な心の病気の一つです。病気の発症は10~20代の若い年代が多く、発症の頻度は人口の1%ぐらいです。この病気は日常生活に大きな支障を生じさせる危険があり、軽くみることはできません。病気の発症後、治療を受けないでいると、それまでの生活のレベルを維持するのは困難となります。
今回は、この統合失調症とはどんな病気なのか、うまくイメージできますように、その症状をメインとして、お話ししたいと思います。
統合失調症チェックリスト
ここ1カ月で、次のような症状がみられる場合、チェックしてください。
1.自分を責めたり命令してくる、正体不明の声が聞こえる
2.極度の不安や緊張を感じるようになった
3.自分は誰かに操られていると感じる
4.みんなが自分の悪口を言ったり、嫌がらせをすると感じる
5.「楽しい」「嬉しい」「心地よい」などと感じなくなった
6.頭の中が騒がしくて眠れなくなった、または眠りすぎるほど眠るようになった
7.人と話すのが苦痛になり、誰とも話さなくなった
8.独り笑い、独り言を言うようになった
9.直前のことを思い出せなくなったり、頭が混乱して考えがまとまらなくなった
10.部屋に引きこもり、1日中ぼんやり過ごすようになった
11.自分の考えていることが周りにもれていると感じる
12.ささいなことに過敏になり、注意をそがれたり、興奮するようになった
13.誰かから監視されたり、盗聴されたり、ねらわれていると感じる
14.1つのことに集中したり、とっさの判断ができなくなった
15.何をするのも億劫で、意欲や気力がなくなった
統合失調症の症状とは。陽性症状と陰性症状
統合失調症の症状には、陽性、陰性の2つのタイプがあるのがポイントです。簡単に違いを言いますと、陽性症状は幻聴などのように、本来あるべきではないことがあるもので、陰性症状は感情の鈍磨など、本来あるべきものがないものです。陽性症状は病気の急性期に現れ、陰性症状は病気の発症後、徐々に目立ってくることが多いです。
陽性症状には次のようなものがあります。
1.幻覚(幻聴、幻視など)
2.妄想
3.思考の障害、解体した会話(洞察力の欠如、支離滅裂な言語など)
4.激しい興奮、拒絶、緘黙
5.陰性症状
陰性症状には次のようなものがあります。
感情の鈍磨
興味の喪失
引きこもり
意欲の低下
身だしなみ、衛生面にかまわない
食事に無関心
気分の落ち込み
陽性症状のうち2つもしくはそれ以上が1ヶ月以上持続している場合は要注意です。
危険な徴候
統合失調症の発症前に見られる異変には次のようなものがあります
- 不眠、昼夜逆転など睡眠パターンの変化
- 性格の変化
- 他人に対して猜疑心が強くなる
- 人間関係に問題
- 集中力の低下
- イライラしやすい
- 奇妙な話し方
- 奇異な行動
例えば、突然学校へ行かなくなり、部屋に引きこもり、服を着替えない、歯をみがかない、顔も洗わないといったような時、また、周りの人が理解できない行動が見られるようになった時には、統合失調症の可能性があります。
統合失調症の原因
原因は現在においても不明です。神経伝達物質のドーパミンの過剰分泌という仮説が現在は主流ですが、それ以外にも様々な神経伝達物質が関与しています。遺伝的な不因や環境のストレスなどが重層的に関与して発症する、多因子疾患と言われています。
統合失調症の治療
薬物療法
統合失調症の治療は薬物療法が基本です。症状の発現が脳の神経伝達物質の機能異常にあり、その機能異常を調節して症状を抑えるためには薬物療法以外が重要になります。しかし統合失調症からの回復には薬物療法だけでは十分ではなく、当事者および家族への精神療法、心理教育や家族療法を併行して行うことが良好な予後に欠かせないこともわかっています。
精神療法、心理教育、リハビリテーション
治療法の組み合わせによる効果を1年後の再発率*で検討した研究によれば、「薬物療法のみの群」では再発率は30%ですが、「薬物療法とリハビリテーションを併用した群」および「薬物療法と家族心理教育(家族技能訓練)を併用した群」はともに再発率が8%と著しく低下することがわかっています。リハビリテーションや家族心理教育を単独で行っても再発率は低下しませんが、薬物療法と組み合わせることで高い治療効果が得られます。
このように、薬によって症状を抑えると同時に、病気によって障害された社会生活機能の回復を図るリハビリテーションと、当事者を支える家族のケア能力を高めることが高い治療効果に結びつき、再発の予防において欠かせません。HIKARI CLINICでは薬物療法のみならず、精神療法、心理療法、家族療法も行っています。是非ご相談ください。また入院、リハビリテーションが必要と判断される場合は、入院可能な提携病院にご紹介いたします。