不安は誰しも感じるものであり、ストレスへのセンサーとして働いている必要なこころの機能でもあります。通常は不安を感じるといっても日常生活に支障をきたすことはあまりありません。ところが誰もが感じる程度をはるかに超える不安を持ち、「特定の状況の限定されない、理由の定まらない不安や心配」が長期間続き、このような不安や心配によって日常生活に支障をきたしてしまう病気を全般性不安障害といいます。
全般性不安障害の患者数は1,000人に64人くらいが経験するといわれ、まれな病気ではありません。なお、患者さんの男女比は、1:2となっており、女性に多い病気であり、20歳前後で発病することが多いといわれています。
仕事や学業などの多数の出来事または活動について、過剰な不安と心配がある。しかし、その原因は特定されたものではない。
不安や心配を感じている状態が6ヶ月以上続いており、不安や心配がない日よりある日のほうが多い。不安や心配をコントロールすることが難しいと感じている。不安や心配は、次の症状のうち3つ以上の症状を伴っている。
全般性不安障害の診断
- そわそわと落ち着かない、緊張してしまう、過敏になってしまう
- 疲れやすい
- 集中できない、心が空白になってしまう
- 刺激に対して過敏に反応してしまう
- 頭痛や肩こりなど筋肉が緊張している
- 眠れない又は熟睡した感じがない
全般性不安障害の治療
全般性不安障害の治療法には大きく分けて薬物療法と精神療法の2つがあります。病気の本態(病気のもと)は不安にありますので、まずは薬を使って不安をコントロール可能なくらいまで軽くし、精神療法によって患者さん自身が不安をコントロールできるようにしていきます。
薬物療法
海外では、早い時期から薬物による治療の研究が盛んに行われており、既に全般性不安障害の治療薬として承認され患者さんの治療に使われている薬もあります。SSRIという抗うつ薬や抗不安薬といった薬で不安をコントロールできる状態に整えます。/p>
精神療法・カウンセリング
GADの発病の原因が、患者さんの生育歴や性格によっているような場合は、精神療法も重要となります。精神療法には、カウンセリング、認知行動療法、セルフコントロール法などがありますが、いずれも無意識に存在している「不安の根源」を探し、そのコントロールを目指すものです。精神療法は、薬物療法と違って副作用が少ないのが利点です。
適切な治療で回復が十分可能な疾患です。遠慮なくご相談ください。